大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)1230号 判決

被告人 橋野覚

〔抄 録〕

原判決挙示の証拠によれば被告人は判示日時場所において宮川昇、佐々木日出男等から同人等が他から窃取して来た判示自動三輪車一台の売却周旋方を依頼されその賍品であることを知りながらその売却先を世話してやる心算で右三名と該三輪車に同乗し判示のように山梨県北都留郡上野原町まで運転させたが売り先もなくガソリンも欠乏したため、東京都八王子市元本郷町一丁目附近まで引き返し、その部分品を取り外して売却しようとしたところを怪まれて逮捕されたことが認められるのである。故に被告人は右窃盗犯人の為賍品の売却を斡旋する意思で同人等と共同して右賍品を東京都内より前記経路を経て八王子市まで運搬したものであることは明らかである。

右のように窃盗本犯と共同して賍品を運搬した場合においては賍物運搬罪が成立するものであり(最高裁判所昭和二八年(あ)第三、三八二号昭和三〇年七月一二日第二小法廷判決参照)右賍品の運搬が賍物牙保の目的で為されたものであるとしても、賍物牙保の成立を見なかつた本件のような場合においては、賍物牙保罪の未遂が罰せられないからと云つて賍物運搬の点を不問に附することは許されない(名古屋高等裁判所昭和二十七年(う)第一、一〇四号同年一二月二六日判決参照)。故に原審が判示のように事実を認定し罰条を適用したのは相当というべく、なお本件記録を調査し諸般の情状を考量するも原審の量刑は重きに過ぎるものとは認められないから論旨はすべて理由がない。

(谷中 坂間 荒川)

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